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名古屋高等裁判所金沢支部 昭和63年(行コ)1号 判決

控訴人(原告) 三愛興業有限会社 外一名

被控訴人(被告) 津幡町長 津幡町農業委員会

主文

一  本件控訴をいずれも棄却する。

二  控訴費用は控訴人らの負担とする。

事実

一  当事者の求めた裁判

1  控訴人ら

(一)  原判決を取り消す。

(二)  控訴人らが昭和五八年六月二五日に建築基準法六条に基づいて被控訴人津幡町長に対してした建築確認申請について、同被控訴人が何らの処分をしないことが違法であることを確認する。

(三)  控訴人らが昭和五八年一一月一日に都市計画法二九条に基づいて被控訴人津幡町長に対してした開発許可申請について、同被控訴人が何らの処分をしないことが違法であることを確認する。

(四)  控訴人らが昭和五八年一一月一日に農地法四条に基づいて被控訴人津幡町農業委員会に対してした農地転用許可後の事業計画変更承認申請について、同被控訴人が何らの処分をしないことが違法であることを確認する。

(五)  訴訟費用は、第一・二審とも被控訴人らの負担とする。

2  被控訴人ら

主文同旨

二  当事者の主張

当事者双方の主張は、次のとおり付加するほか、原判決事実摘示のとおりであるから、これをここに引用する。

1  控訴人らの主張

(一)  控訴人らの本件各申請の経緯

(1) 控訴人らは、昭和五四年一二月以来、石川県河北郡津幡町字太田地内に旅館を建築し、ホテルクィーンの名称で旅館業を営んでいる。このホテルの規模は、土地一一五七平方メートル、建物延八二四平方メートルであるが、昭和五八年六月にさらに八二六平方メートルの建物を増築するために、従来駐車場用地としていた土地八六七平方メートル上に建物を建築する計画を立て、同月二五日、建築基準法六条に基づき、石川県建築主事宛の建築確認申請書を被控訴人津幡町長(以下「被控訴人町長」という)に提出した。

(2) これに対し被控訴人町長は、昭和五八年七月一一日付で津幡町社会環境整備等に関する条例に基づき計画の中止を勧告したが、控訴人らは、右条例が憲法や法令に違反するとしてこれに応じなかった。そこで同町長は、津幡町都市計画課長名で「建築確認の申請書の受理について」と題する書面を発し、農地法四条による用途変更の手続及び開発行為の許可申請をするよう行政指導をした。しかし、当該土地はすでに農地法上の許可を得ている土地に隣接する土地であって、当該土地についてもすでに農地法四条の転用許可を得て駐車場としていたから、改めて転用許可を得る必要はなく、申請手続をするとしても形式的な審査で足りるものであること、開発行為許可申請についても両土地面積を合算すれば右許可の対象になるけれども、今回は単独申請であってその必要はないはずであり、控訴人らとしては右指導はいずれも納得できなかったが、一応右指導に基づいて同年一一月一日、農地法四条に基づいて石川県知事宛の農地転用許可後の事業計画変更申請を被控訴人津幡町農業委員会(以下「被控訴人委員会」という)に、都市計画法二九条に基づき同知事宛の開発許可申請を被控訴人町長に、それぞれ提出した。

(二)  被控訴人町長の不作為

(1) 本件建築確認申請は、石川県建築主事宛で被控訴人町長に提出されているが、これは同町には建築主事がおかれていないため、建築基準法施行細則二条及び従来の慣行に従ったものであり、控訴人らが昭和五四年一二月一三日に建築確認を得たときも同町長に申請書を提出し、確認を受けている。

(2) 被控訴人町長は建築主事から機関委任されており、事務処理要綱に基づいて事実上町長が建築確認の審査を行っているのであるから、町長は法令に基づく申請がなされたときは、審査の上建築主事に進達する義務がある。したがって、町長の対応によって申請者に直接権利義務が生ずることになるから、町長は申請に対して応答すべき義務がある。

(3) しかるに、同町長は、条例の趣旨に反するからといって中止を勧告し、さらにこれに従わないとして、申請書類を返却したものであって、建築主事は右申請があった事実も知らされていない。つまり町長は建築主事の審査を受ける機会も与えず、本件申請を握りつぶしたものである。

(4) 被控訴人町長は、建築主事に直接申請できると主張するが、法令に基づいて本件申請がなされている以上、別に直接申請の道があるとしても町長の不作為が違法であることを免責するものではない。しかも同町長は、右申請書類の返却にあたり、改めて建築主事に再提出できるとか、建築審査会に審査請求できるとか、右返却行為がなんらかの処分にあたるとすれば、どのような不服申立方法があるか等についてなんらの教示もしていない。申請書類を一方的に返却することによって申請行為が消滅するわけではなく、同町長はいまだになんらの応答もしていないから、現在も不作為状態にあり、右不作為が違法であることは明らかである。

(5) 控訴人らは、被控訴人町長の行政指導により、同町長に対し、県知事宛の開発行為許可申請書を提出したが、津幡町都市計画課は昭和五八年一二月に「施設増築計画について勧告した主旨により、申請は受理できないので関係書類を返戻する」旨通知し、控訴人らが異議を申し立てたところ、昭和五九年二月に「旅館増築計画の申請について、たとえ合法的とはいえ、必ずしも増築が適切であると判断しかねる」として、再度提出した申請書を返戻した。右申請書の返戻についても同町長は、前同様なんらの教示もせず、応答義務に反しているから、その不作為は違法である。

(三)  被控訴人委員会の不作為

(1) 控訴人らは、被控訴人委員会に対し、農地転用許可後の事業計画変更申請書を提出しているが、「農地転用許可後の転用事業の促進等に関する事務処理について」という通達によると、

〈1〉 事業計画変更申請書は、農業委員会を経由して都道府県知事にそれぞれ提出させる。

〈2〉 転用事業者の変更前の事業計画について関係者の同意、又は意見を得ている場合等の同意書、又は意見書の写しを添付する。

〈3〉 経由庁は、申請書を受理したときは、申請に係る事業計画変更についての意見を付して、これを許可権者に進達する。

〈4〉 許可権者は、経由庁から進達された申請書を受理したときは、その内容を審査し、必要があれば現地調査等を行い、承認・不承認を決定し、経由庁を経由して申請者に通知する。

などとされており、これに基づくものである。

(2) 右通達により、被控訴人委員会は、法令に基づいて申請書が提出された場合は、要件の具備について審査し、これが整っている以上、裁量の余地はなく、意見書を付して申請書の提出のあった日の翌日から四〇日以内に、農地法施行規則四条三項、二条三項に基づき、県知事に進達する義務がある。

(3) その場合、土地改良区の地区内にあるときだけ土地改良区の意見書の添付が必要であるが、それ以外の同意書の添付は必要ではなく(農地法施行規則四条二項)、土地改良区の意見書についても、意見を求めた日から三〇日経過してもその意見が得られないときは、その事由を記載した書面を添付すればよいとされている(同条二項但書)から、右意見書の添付も絶対的必要要件ではない。したがって、控訴人らの右申請は、県知事の審査を受けられる状態にあるから、同委員会はこれを県知事に進達すべきことは明らかである。

(4) しかるに、同委員会は、控訴人らから右申請書を提出されたのに、県知事に進達せず、前記津幡町都市計画課と同様に関係書類を返戻する旨通知し、控訴人らが異議を述べて再度提出した申請書も返戻した。被控訴人委員会の右処置は、行政指導の枠を超えて、県知事の審査を受ける機会を奪い、控訴人らの申請を握りつぶしたものであって、その不作為が違法であることは明らかである。

(5) 被控訴人委員会は、同委員会が審査をしない場合でも農地法施行規則四条三項(二条四項)により直接知事に申請書を提出することができると主張する。しかし、右規定は「四〇日以内に農業委員会の総会が開かれる見込みのないことが明らかなとき、その他相当の事由があるときは、農業委員会を経由しないですることができる」というものであり、本件の場合には該当しないし、国民が農業委員会に申請書を提出しても総会が開かれない場合等の救済措置を定めたものであって、法令に基づいて農業委員会に提出された申請書に対して同委員会の応答義務を免除した規定ではない。しかも本件の場合、同委員会は、控訴人らの申請書を返戻するにあたって、直接知事に申請書を提出できる旨を教示してもいない。したがって、同委員会の不作為が違法であることに変わりはない。

(四)  被控訴人らは、控訴人らの各申請につき、必要書類が具備していなかったため、不受理として返戻したと主張するが、書類不備に理由がないことは前述したとおりであり、補正のための返戻としても、行政庁は別途却下等なんらかの処分を行う義務があり、補正の期限の徒過は申請の撤回にはならないから、控訴人らが撤回の意思を表示しない以上、行政庁としては応答の義務が引き続き存在するものであって、その不作為は違法である。

(五)  建築確認申請については建築主事、事業計画変更許可及び開発行為許可申請については県知事が処分権者であるから、これらの者が不作為の当事者となるとの見解も考えられるが、本件は建築主事や県知事の審査を受ける前の段階で被控訴人らの不作為が問題となっているのであるから、被控訴人らの進達は、控訴人らの権利義務の形成に直接関係する重要な問題である。経由庁を通す行政手続において、経由庁が不作為を継続しても、経由庁は処分権者でないとの理由で、なんらの応答義務もなく、不当な理由で申請書を返戻しても違法でないとして免責され、しかも、受理できない理由や提出すべき行政庁を教示する等の適切な措置をとる必要もないというのでは、国民の権利は画餅に帰することになる。

2  被控訴人らの主張

控訴人らの前記各主張はいずれも争う。

三  証拠〈省略〉

理由

一  当裁判所も控訴人らの本件訴えはいずれも訴訟要件を欠き、不適法として却下すべきものと判断するところ、その理由は次のとおり付加するほか、原判決理由説示のとおりであるから、これをここに引用する。

二  行政事件訴訟法三条五項に定める不作為の違法確認の訴えは、行政庁が法令に基づく申請に対し、相当期間内に何らかの処分をなすべき応答義務を負っていることを当然の前提として、行政庁が右応答義務に違反している状態が認められる場合に、裁判所が違法を確認し、行政庁に対し申請について何らかの処分を行う義務を課すことにより、右処分に対する取消訴訟を可能にすることを目的とするものである。したがって、右訴えの相手方、すなわち被告適格を有するものは、申請に対応する処分をすべき義務のある行政庁(処分権限者)であり、また右にいう処分とは、申請者その他国民の具体的権利義務を形成し又は確定する効力を有する行為と解するのが相当である。

三  そこで本件各申請について検討する。

1  本件建築確認申請について

(一)  石川県では、建築基準法施行細則(昭和四八年六月一日規則第四二号)二条により、建築主事に提出する申請書等は、当該申請に係る建築物の所在する区域を管轄する市町村長及び土木事務所長を経由しなければならないと定め、市町村建築行政事務処理要綱及び土木事務所における建築基準法関係事務処理要領により、建築確認申請を受け付けた市町村長は、市町村処理事項((1)申請書の内容を調査して受付、(2)処理簿の記入、(3)消防長又は消防署長の同意、(4)関係各課へ合議、(5)証明書の添付)を処理したうえ、申請書等を土木事務所に送付することとされ、土木事務所において始めて申請書の受理が行われ、各手続を経て内容の審査を行い、土木事務所で確認するものを処理し、本庁が確認すべきものは、確認審査経過調書を記載して申請書を本庁に進達し、本庁で確認した場合も再び土木事務所に送付され、同事務所から確認通知書を市町村に送付し、市町村から申請者に交付される手続が定められている。

(二)  しかし、建築基準法六条一項によれば、建築主は、一定規模の建築物を建築(増築等を含む)しようとする場合においては、確認の申請書を提出して建築主事の確認を受けなければならないとされており、津幡町には建築主事が置かれていないから、同法四条五項により石川県知事の指揮監督の下に置かれた建築主事に対し申請することになるところ、同法は右のように建築主事に直接申請する建前をとっており、具体的委任規定を置いていないが、同法四条によれば、建築主事を置くことは地方公共団体の事務であるところ、建築主事の機構について同法は何らの規定もしていないから、建築主事の機構を整備することも、地方公共団体の事務に属するというべきであり、石川県の定めた前記細則は、地方自治法一五条により、地方公共団体の長が、その権限に属する事務に関し、規則を制定し、建築主事の機構の整備の一環として市町村長に申請書の受理権限を与えたものと解するのが相当である。

(三)  そして、建築主事は、建築基準法により建築確認等の行政処分を行う権限を与えられた行政庁であり、指揮監督権を有する知事等が代行することも、建築主事が他の職員にその権限を委任することも許されないから、前記細則等による市長村長の受理及び審査は、建築主事の一機構としての行為というべきである。したがって、市町村長が土木事務所に申請書を送付し、あるいはこれを送付しない行為は、行政機関相互間の行為に過ぎず、国民の権利義務を形成し、又は確定する効力を有する行政処分とはいえない。また、申請者が市町村長に申請書を提出すれば、法的には建築主事に申請したと同一の効果が生ずるとみるのが相当であり、建築主事は、市町村長あるいは土木事務所から申請書の送付がないことをもって申請を受理していないと主張することは許されないというべきである。

(四)  控訴人会社は、被控訴人町長に対してした本件建築確認申請について、同被控訴人が何らの処分をしないことが違法であると主張するが、控訴人会社が同被控訴人に本件建築確認申請書を提出したことにより、石川県建築主事に申請がなされたと同一の効果が生じているものというべきであり、同建築主事において何らかの応答をする義務はあるが、同被控訴人は処分権限者ではないから、本件確認申請に対する不作為の違法を主張するのであれば、建築主事を被告とすべきであり、同被控訴人は被告適格を有しない。また、同被控訴人が土木事務所長に申請書を送付する行為は行政処分といえないから、この点でも訴訟要件を欠くものというべきであり、控訴人会社の右主張はいずれも理由がない。

2  本件開発行為許可申請について

(一)  都市計画法二九条は、市街化区域又は市街化調整区域において開発行為をしようとする者は、都道府県知事の許可を受けなければならないとし、同法三〇条は、開発許可を受けようとする者は、所定の事項を記載した申請書を都道府県知事に提出しなければならないと定め、直接知事に申請することとされているところ、石川県都市計画施行細則(昭和四五年六月二〇日規則三七号)は、右申請につき市町長を経由して提出し、これを受理した市町長は、所定の事項について調査したうえ、意見を付して当該管轄の土木事務所長へ進達することを定めているが、右細則は、地方自治法一五条により、地方公共団体の長が、その権限に属する事務に関し、規則を制定し、知事の機構の整備の一環として市町長に申請書の受理権限を与えたものと解するのが相当である。

(二)  したがって、前記細則等による市町長の受理及び調査は知事の一機構としての行為というべきであり、被控訴人町長の土木事務所長への進達行為は、行政機関相互間の行為に過ぎず、国民の権利義務を形成し、又は確定する効力を有する行政処分とはいえないこと、そして申請者が市町長に申請書を提出すれば、知事に申請したものとみるべきであることは、前記建築確認申請の場合と同様である。したがって、控訴人会社が被控訴人町長に対してした本件開発行為許可申請について、同被控訴人が何らの処分をしないことが違法であると主張するならば、同被控訴人は処分権限者ではなく、同被控訴人は被告適格を有しないから、石川県知事を被告とすべきであり、同被控訴人自身の不作為の違法を主張するとしても、同被控訴人が土木事務所に申請書を進達する行為は行政処分といえないから、訴訟要件を欠き、控訴人会社の右主張はいずれも理由がない。

3  本件農地転用許可後の事業計画変更承認申請について

(一)  農地法四条一項は、農地を農地以外のものにする者は、省令で定める手続に従い、都道府県知事の許可を受けなければならないと定め、同法の委任を受けた農地法施行規則(昭和二七年一〇月二〇日農令七九―省令)は、農地法四条一項の許可を受けようとする者は、申請書を農業委員会を経由して都道府県知事に提出しなければならない(四条一項)、農業委員会は、その許可が都道府県知事の権限に属する申請書の提出があったときは、その提出があった日の翌日から起算して四〇日以内に、これに意見書を付して都道府県知事に進達しなければならない(四条三項、二条三項)とし、他方、農業委員会を経由して申請書を提出する場合において、当該農業委員会の農地部会の会議が四〇日以内に開かれる見込みのないことが明らかなときその他相当の事由があるときは、農業委員会を経由しないで直接知事に提出でき(四条三項、二条四項)、農業委員会に申請書を提出した後においても、当該農業委員会が四〇日以内に知事に進達しなかった場合には、当該申請を取り下げる旨を当該農業委員会に通知し、当該申請書と同一の内容の申請書を農業委員会を経由しないで都道府県知事に提出することができると定めている。

(二)  ところで、本件申請は、控訴人中村が駐車場に供する目的で農地転用許可を受けていた土地につき、これを承継した控訴人会社が事業計画を旅館増築目的に変更することの承認を求めるものであり、農地法四条三項は、転用の許可は条件をつけてすることができるとしており、右条件として転用目的を限定することも許され、転用目的に違反する行為については転用許可がなかったものとして取り扱われるから、転用目的を変更することも都道府県知事の許可を要するものと解するのが相当であり、その手続についても前記省令が適用されるべきであるところ、本件通達(農地転用許可後の転用事業の促進等に関する事務処理について―昭和五一年九月三〇日構改B一九三九号構造改善局長通達)によれば、事業計画変更申請書は、都道府県知事の農地転用許可に係るものにあっては農業委員会を経由して都道府県知事に提出させるものとし(第二2(1))、経由庁は、申請書を受理したときは、申請に係る事業計画変更について意見を付して許可権者に進達し(同(4))、許可権者は、経由庁から進達された申請書を受理したときは、その内容を審査し、必要があれば現地調査等を行い、承認、不承認を決定し、経由庁を経由して、その旨を申請者に通知する(同(5))ものと定め、石川県農地関係事務処理要領(昭和五八年三月一八日農政発第七七農林水産部長通達)においては、農業委員会は、変更申請書の提出があった場合には、申請書に受付印等を押し受付年月日を明らかにし、許可取消によって効率的に農地として利用されないか、許可目的達成困難は転用事業者の故意等によらないか、変更後の転用事業の必要性等について審査し、その申請の承認又は不承認の意見を決定した後、その意見を付して変更申請書を知事に進達するものとしている。

(三)  そうすると、事業計画変更承認申請は、農地法四条による農地転用の許可と同様、知事に許可権限があるところ、前記省令によりその申請は農業委員会を経由してすることとされているが、農業委員会は独立の行政処分をする権限を有するものではなく、農業委員会の受理、審査、意見書の作成、知事への進達は知事の一機構としての行為というべきであるから、同進達は行政機関相互間の行為に過ぎず、国民の権利義務を形成し、又は確定する効力を有する行政処分とはいえない。したがって、控訴人らが被控訴人委員会に対してした本件事業計画変更承認申請について、改めて知事に対し直接申請書を提出することなく、同被控訴人が何らの処分をしないことが違法であると主張するならば、知事を被告とすべきであり、同被控訴人は被告適格を有しない。また同被控訴人自身の不作為の違法を主張するのであれば、同被控訴人が知事に申請書を進達する行為は行政処分といえないから、訴訟要件を欠く。すると控訴人会社の右主張はいずれも理由がない。

三  よって、原判決は相当であるから、本件控訴を棄却することとし、控訴費用の負担について民事訴訟法九五条、八九条、九三条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 井上孝一 井垣敏生 紙浦健二)

原審判決の主文、事実及び理由

主文

一 本件訴えをいずれも却下する。

二 訴訟費用は原告らの負担とする。

事実

第一当事者の求めた判決

一 原告ら

1 原告らが昭和五八年六月二五日に建築基準法六条に基づいて被告津幡町長に対してした建築確認申請について、同被告が何らの処分をしないことが違法であることを確認する。

2 原告らが昭和五八年一一月一日に都市計画法二九条に基づいて被告津幡町長に対してした開発許可申請について、同被告が何らの処分をしないことが違法であることを確認する。

3 原告らが昭和五八年一一月一日に農地法四条に基づいて被告津幡町農業委員会に対してした農地転用許可後の事業計画変更承認申請について、同被告が何らの処分をしないことが違法であることを確認する。

4 訴訟費用は被告らの負担とする。

二 被告ら

1 原告らの請求をいずれも棄却する。

2 訴訟費用は原告らの負担とする。

第二当事者の主張

一 請求原因

1 原告らは、昭和五四年一二月頃から旅館、飲食店、ホテル等を経営し、石川県河北郡津幡町字太田ろ二六八番地において、昭和五五年四月二八日にホテルクイーンの名称で旅館を建築して旅館業を営む者であり、原告中村清治(以下「原告中村」という。)は後記4の農地転用許可後の事業計画変更承認申請についての当初計画者、同三愛興業有限会社(以下「原告会社」という。)はその承継者である。

2 右旅館の敷地面積は一一五七平方メートル、建物延面積は八二四平方メートルであるが、原告らは、右旅館について、従来駐車場にしていた土地八六七平方メートルの上に八二六平方メートルの建物を増築することを計画し、昭和五八年六月二五日、建築基準法六条に基づいて、被告津幡町長(以下「被告町長」という。)に石川県建築主事(以下「県建築主事」という。)宛の建築確認申請書を提出し、県建築主事に進達するよう求めた。なお、右申請書を被告町長に提出したのは、津幡町が建築主事を置いていないため、従来の慣行によってそのようにしたものである。

3 これに対して、津幡町は、同年八月九日、前記建築確認申請書の受理について、その前提として、原告らに対し、都市計画法二九条に基づく開発行為許可申請、及び昭和五一年九月三〇日付五一構改B一九三九号構造改善局長通達(以下「本件通達」という。)に基づく農地法四条の農地転用許可後の事業計画変更承認申請をして、前者については石川県知事(以下「県知事」という。)の許可を、後者については同知事の承認を受けるよう同町都市計画課長名で指導した。

4 津幡町の右指導は不当なものであったが、原告らは、不承ながらもこれに従い、昭和五八年一一月一日、被告町長に対し都市計画法二九条に基づく県知事宛の開発行為許可申請書を、被告津幡町農業委員会(以下「被告委員会」という。)に対し本件通達に基づく同知事宛の農地転用許可後の事業計画変更承認申請書を提出した。

5 しかし、被告らは、右開発行為許可申請については土地改良区長及び隣地所有者の同意書を、また事業計画変更承認申請については隣地所有者及び生産組合長の同意書並びに土地改良区長の意見書の添付を要求してその受理を拒絶し、昭和五九年四月九日に至って原告らに前記建築確認申請書、開発行為許可申請書及び事業計画変更承認申請書をいずれも返却し、今日まで右各申請に対して何らの処分もしない。

6 以下の(一)ないし(三)によれば、原告の右各申請についての被告らの不作為は違法である。

(一) 建築確認は建築主事の権限に属する事項であり、町に建築主事を置いていない場合には町長が県からの委嘱によりその申請の受付及び受理を行っている。その場合、町長としては、書類の具備の有無を審査し、形式的用件が具備されているときは受付印を押し、進達書を添付して県土木事務所へ送付し、県建築主事に進達すべき義務があり、仮にそうでないとしても原告らに対し何らかの応答をすべき義務がある。そして、県建築主事が申請書の進達を受けた場合には、建築物の種別により、受理の日から七日以内もしくは二一日以内に建築確認もしくは不適合認定の通知をすることとなっている。このように「受理」を法律上明記している以上、右申請に対する処分を濫りに延ばすことは許されない。そうであるところ、本件建築確認申請は法令に定められた基準に適合するものであったにもかかわらず、被告町長において前記のとおり申請書を原告らに返却し、今日に至るまで県建築主事にこれを進達せず、原告らに対し何らの応答もしないのは違法な不作為というべきである。

なお、本件のような場合、右申請の窓口は町長であり、住民は町長を通じて申請するしかないのであるから、町長が県建築主事に進達しなければ、申請者は当該申請が建築基準法に適合するか否かの審査さえ受けられず、国民の権利を不当に奪うことになる。すなわち、町長が県建築主事に申請書を進達するか否かは国民の権利義務の形成に直接関係するから、進達は行政処分である。

(二) 開発行為許可申請についても、被告町長は、相当期間内にその申請書を県知事に進達すべき義務があるのに、今日に至るまでそれをしないのは違法な不作為というべきである。

(三) 事業計画変更承認申請については、その承認の権限は県知事にあるので、被告委員会としては、右申請書が提出された場合には、法令に照らして要件が具備されている以上相当期間内に右申請書を県知事に進達すべき義務があり、右進達をするかどうかについて裁量の余地は全くない。被告委員会は、右申請書に隣地所有者及び生産組合長の同意書並びに土地改良区長の意見書が添付されていないことをもってこれを不適式のものと主張するが、右同意書等の添付は法令上の要件ではないし、被告らが右添付の根拠として主張する石川県農地関係事務処理要領も、単に行政庁間における処理要領を定めたものに過ぎず、国民を拘束するものではない。そのうえ、同意書等が得られない場合にはその経緯等を記載した書面を添付すれば足りるものというべきである。そしてまた、右申請においては、同意書等はいわゆる被害防除の関係で求められているところ、本件変更後の事業目的は旅館建設であることから、その使用状況や目的等は昭和五四年一二月に前記旅館が建築確認を受けた当時と何ら変わるところがなく、また被害防除についても原告らは万全の対策をとっているから、同意書等が得られない理由を記載した上申書を添付すれば、同意書等に変わるものというべきである。そこで原告らは、同意書等の得られなかった経緯を記載した上申書を添付し、右申請の受理を求めた。

なお、被告委員会は、申請書を直接県知事に提出できることを理由に同被告の進達義務及び応答義務を否定するが、本件においては申請書を直接県知事に提出することはできないから、同被告の右主張はその前提を欠いて失当である。仮にそうでないとしても、県知事に申請書を直接提出できることは国民に対する救済措置であるにすぎず、農業委員会を免責させる趣旨ではないから、国民が農業委員会に申請書を提出した以上、同委員会としては一定期間内に進達もしくは応答する義務を負う。また国民は、農業委員会に申請書を提出した場合、同委員会を経由して県知事から承認不承認の通知があるものと考えるのが普通であり、同委員会において、直接県知事に提出しうることを教示せずして、後日不作為の違法を問われた場合にこのことを理由として作為義務違反を免れるということはできない。

従って、被告委員会が今日に至るまで本件事業変更承認申請に対して進達ないし応答をしないのは、違法な不作為というべきである。

7 よって、原告らは、被告町長との間で、本件建築確認申請及び本件開発行為許可申請について同被告らが何らの処分をしないことがいずれも違法であることの確認を求め、並びに被告委員会との間で、本件事業計画変更承認申請について同被告が何らの処分をしないことが違法であることの確認を求める。

二 請求原因に対する認否

1 請求原因1は認める。

2 同2のうち、原告会社が昭和五八年六月二五日に被告町長に建築確認申請書を提出したことは認める。

3 同3のうち、被告町長が原告らに対して建築確認申請書の受理の前提として、都市画法に基づく開発行為許可申請及び農地転用許可後の事業計画変更承認申請をするよう指導したことは認める。

4 同4のうち、右指導に基づいて、昭和五八年一一月一日、原告会社が被告町長に対し開発行為許可申請書を、原告らが被告委員会に対し農地転用許可後の事業計画変更承認申請書をそれぞれ提出したことは認める。

5 同5のうち、被告らが昭和五九年四月九日原告らに本件の建築確認申請書、開発行為許可申請書及び事業計画変更承認申請書をいずれも返却したことは認める。

6 同6について

(一)のうち、不作為の違法性は争う。

(二)のうち、被告町長に開発行為許可申請書を県知事に進達すべき義務があることは認める。不作為の違法性は争う。

(三)のうち、被告委員会に事業計画変更承認申請書を県知事に進達すべき義務があることは認める。不作為の違法性は争う。

三 被告らの主張

1 原告中村は、石川県河北郡津幡町字太田ろ二六八ないし二七〇番の各土地(以下地番のみで表示する。)を所有しているが、右のうち二六八番及び二六九番の各土地について昭和五四年農地転用許可を受け、そこに「モーテルクイーン」なる名称のモーテル類似施設(その実質や使用目的はモーテルと何ら異ならないが、風俗営業等取締法(現在の題名は「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」)で規制されていたモーテルと構造を若干異にしている。)を建設し、これを経営している。

2 その後、原告中村は、昭和五七年、二七〇番土地(田八六六平方メートル)について右「モーテルクイーン」の駐車場に供するためと称して農地法四条に基づく転用許可申請をして同年七月二七日その許可を受け、昭和五八年五月八日右土地の地目は雑種地に変更された。

3 右転用許可後も右土地は駐車場に利用されないまま、原告会社は、昭和五八年六月二五日、「モーテルクイーン」の増築のため請求原因2記載のとおり建築確認申請書を被告町長に提出した。

しかし、右申請については、まず、都市計画法によれば、一五〇〇平方メートル以上の開発行為については知事の許可を要するものであるところ、「モーテルクイーン」の前記昭和五四年の新築時点ではその敷地である二六八番土地及び二六九番土地の合計面積は一一五〇平方メートルであって右の許可は不要であったが、これに二七〇番土地の面積を加えると合計二〇一六平方メートルとなるので、右増築については開発行為についての許可が必要であった。また、右増築部分の敷地に当たる二七〇番土地は前記のとおり駐車場にする目的で転用されたものであって建物建築を予定したものではなかったため、ここに建物を増築するためには、本件通達に基づき、農地転用後の事業計画変更についての知事の承認を得る必要があった。

そこで、被告町長は、原告らに対し、前記建築確認申請の前提として、右の開発行為許可及び事業計画変更承認の各申請をするよう指導した。

4 右指導を受けて、原告会社は開発行為許可申請書を被告町長へ、また原告らは事業計画変更承認申請書を被告委員会へそれぞれ提出したが、右申請はいずれも必要書類を具備していなかった。

すなわち、開発行為許可申請については、都市計画法三二条の「公共施設の管理者の同意」に準じて区長の同意を要し、また慣行により開発にかかる土地の隣地の所有者の同意を要するものと考えられるにもかかわらず、その同意書が添付されておらず、また事業計画変更承認申請についても、その申請手続は石川県農地関係事務処理要領(昭和五八年三月一八日農政発第七七号農林水産部長通達)によって処理されているところ、右通達によれば、隣地所有者の同意書、土地改良区長の意見書及び生産組合長の同意書が必要とされているにもかかわらず右申請にはこれらが添付されていなかった。

そこで被告らは、原告らに対し右必要書類を添付するよう指示し、それまでは右開発行為許可申請及び事業計画変更承認申請の正式受理を留保した。

5 その後、相当期間が経過しても右必要書類が具備されなかったので、被告らは、本件建築確認申請、開発行為許可申請及び事業計画承認申請について最終的にいずれも不受理とし、関係書類を原告らに返却した。

6 なお、被告町長は、津幡町社会環境整備等に関する条例(昭和五四年七月二日条例一〇号)に基づいて、原告らに対し「モーテルクイーン」の増築を中止するよう再三勧告したが、原告らはこれに全く耳を貸そうとせず、今日に至っている。

7(一) 建築確認申請については、石川県の建築基準法施行細則(昭和四八年六月一日規則四二号。以下「細則」という。)により、申請書は市町村長を経由して県建築主事に進達されることとなっている。市町村長は、申請書を受けたときは、記載事項及び添付書類の具備、手数料の納付等を確認してこれを県建築主事に進達するのであるが、本件においては開発行為についての県知事の許可及び農地転用後の事業計画変更についての県知事の承認を経ていないという重大かつ明白な要件の欠缺があったため、被告町長はまず右の許可及び承認を得るよう原告らに指導して申請書類を返却したものであって、同被告の右行為には何ら違法はない。また、「細則」によれば、建築確認申請書は直接県建築主事に提出することもできるのであるから、被告町長の不作為を論ずるのは無意味である。

(二) 開発行為許可申請については、前記のとおり同意書が添付されていないという重大かつ明白な要件の欠缺があったので申請書類を返却したに過ぎず、被告町長には何ら違法な不作為はない。

(三) 事業計画変更承認申請についても、被告委員会としては、前記の同意書等がなかったためその正式受理を留保したのであって、同被告に何ら違法な不作為はなく、かつ右申請書も直接県知事に提出でき、同被告においてそのようにするよう指示、指導しているから、同被告の不作為を論ずることは意味がない。

第三証拠〈省略〉

理由

一 請求原因1は、当事者間に争いがない。

二 本件建築確認申請について

1 原告会社が昭和五八年六月二五日に被告町長に対して県建築主事宛の本件建築確認申請書を提出したことは、当事者間に争いがない。しかし、原告中村が右申請行為をしたことを認めるに足りる証拠はないから、同原告は、本件訴えのうち右申請についての不作為の違法確認を求める原告適格を有しない。

2 ところで、建築確認は建築主事が行うものである(建築基準法六条)ところ、津幡町には建築主事が置かれていない(被告町長は明らかに争わないからこれを自白したものとみなす。)から、同町における建築確認に関する事務は県建築主事がつかさどることになる(同法四条五項)。そして、成立に争いのない乙第三、第四号証によれば、石川県においては、「細則」二条、市町村建築行政事務処理要綱二条及び三条、土木事務所における建築基準法関係事務処理要領二条、五条及び六条により、建築確認申請は当該建築物の所在する区域を管轄する市町村長において受け付け、市町村長から申請書を当該管轄の土木事務所長に進達し、これを受けた土木事務所においては、職務分掌に従い、土木事務所建築主事において建築確認を行うかあるいは土木事務所長から申請書を本庁の建築住宅課建築主事に進達することとなっていることが明らかである。そうすると、建築確認申請書を受け付けた市町村長は土木事務所長にこれを進達するにすぎないところ、右にいう進達は行政機関相互間の行為であって、申請者その他国民の具体的権利義務を形成しまたは確定する効力を有せず、これを行政処分と解することはできない(最高裁判所昭和三七年七月二〇日第二小法廷判決、民集一六巻八号一六二一頁参照)。また、他に被告町長が右申請について行政処分としての何らかの応答をすべき義務を負っているものとは考えられない。従って、原告会社の本件訴えのうち右申請についての被告町長の不作為の違法性の確認を求める部分は訴訟要件を欠くこととなる。

三 本件開発行為許可申請について

1 原告会社が、昭和五八年一一月一日、被告町長に対して県知事宛の本件開発許可申請書を提出したことは、当事者間に争いがない(その根拠法令は、都市計画法二九条の外、同法附則四項、同法施行令附則四条の二但書、石川県都市計画法施行細則(昭和四五年六月二〇日規則三七号)附則二項であると考えられる。)。しかし、原告中村が右申請行為を行ったことを認めるに足りる証拠はないから、同原告は、本件訴えのうち右申請についての不作為の違法確認を求める原告適格を存しない。

2 ところで、開発行為許可は都道府県知事が行うものである(都市計画法附則四項)ところ、石川県においては、都市計画法施行細則四条により、右の許可申請書は当該開発区域を管轄する市町長を経由して提出し、これを受理した市町長は、所定の事項について調査のうえ、意見を付して当該管轄の土木事務所長へ進達することになっていることが明らかである。そうすると、本件申請書を受理した被告町長はこれを土木事務所長に進達するにすぎないところ、前記二2において説示したのと同様、右の進達を行政処分と解することはできず、他に被告町長が右申請について何らかの行政処分をすべき義務を負っているとは考えられない。従って、原告会社の本件訴えのうち右申請についての被告町長の不作為の違法の確認を求める部分は訴訟要件を欠くこととなる。

四 本件事業計画変更承認申請について

1 原告らが、昭和五八年一一月一日、被告委員会に対して県知事宛の本件事業計画変更承認申請書を提出したことは、当事者間に争いがない。

2 ところで、本件通達は、農地法四条による農地転用許可後も当該許可に係る土地が転用目的に供されないまま相当長期にわたり放置されている事例が散見されることは国土資源の有効利用及び農地法の励行の上からみて看過しえないことであるとして、一定の転用事業実施の促進措置を講じてもなお許可目的を達成することが困難と認められる事案である場合において、転用事業者が許可に係る目的の変更を希望するとき、または当該転用事業者に代わって許可に係る土地について転用を希望する者(承継者)があるときは、転用事業者ないし承継者に事業計画変更承認の申請を行わせ、許可権者においてその承認をすることができると定めている。

そうであるところ、いずれも成立に争いのない乙第一、第六号証によれば、右の承認権者は都道府県知事であるが、本件通達により、都道府県知事の転用許可にかかるものについては農業委員会に右の承認申請書を提出し、農業委員会において意見を付して知事に通達するものとされていることが明らかである。しかるに、前記二2で説示したのと同様、この進達も行政機関相互間の行為であって行政処分ではないというべきであるから、本件訴えのうち右申請についての被告委員会の不作為の違法の確認を求める部分は訴訟要件を欠くこととなる。

五 結論

以上によれば、原告らの本件訴えはいずれも不適法であるからこれを却下することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民訴法八九条、九三条一項本文を適用して、主文のとおり判決する。

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